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読解⇒ホットシート⇒作文

  • anc05825
  • 2014年6月3日
  • 読了時間: 3分

演劇的手法のうちの「ホットシート」を、日本語ⅢA/日本語表現2のクラスで取り入れています。

ホットシート/ホットシーティング(hot seating)は、本やドラマのなかのある人物になりきって記者会見のように質疑応答をしながら、内容への理解を深め主張形成を促していくというドラマ的な手法です。

今回は「経済学は役に立つのか」という朝日新聞の人生相談記事を読みました。

福島在住の大学2年生の「ぼく」はなんとなく経済学部に入ってしまったけれど、東日本大震災後の医学部や看護学部の学生たちの自分の専門を生かしたボランティア活動を目の当たりにし、自分がなんとなく勉強している経済学は社会に貢献していないと悩んでいます。 目的もなく大学に入ってしまい、学費ももったいない、しかし退学する勇気もない。

次に、この相談者に対する、A子さんとB介くんの2種類の意見文を読ませました。

A子さんの意見は、経済学は医学や看護学と同様にわたしたちの社会に貢献する、というものです。

震災後に寂れてしまった福島を復興させるためには、経済学の知識が必要だし、エネルギー政策を転換するためにも経済の知識がいるし、また権力を持った人の意見を鵜呑みにしない批判的な観点を鍛えるには、医学よりも人文学のほうが向いていると主張します。

一方B介くんは、相談者と同様に「役に立たない」「実用的ではない勉強」ばかりやらされる大学に対して批判的です。宗教とか哲学とか法律とか、現在の自分の生活にはまったく関係ないことばかり勉強している意味はない。また、自分は公務員試験を受けるつもりだが、その試験対策のクラスは大学にはない。大学はもっと実用的で役に立つ学問を学生のために準備するべきだ、という主張です。

まず、3人のうち誰がいちばん自分の考えに近いかを考えてもらいました。

そして、それぞれで分かれて、自分が選んだ人以外の2人への質問を考えてもらいました。

それらの質問を集計し、質問状を各グループにわたし、応答を考えさせました。

それで、ホットシートです。 各チームから代表者が出て、教壇のホットシートに座り、質問を受け付けます。

相談者とB介くんに対する質問はだいたい同じでした。

・なぜ経済学部に入ってしまったのか。

・大学ではなく専門学校に行けばよかったのではないか。

・法律や哲学や宗教が自分に関係ないと、なぜ断言できるのか。

A子さんに対しては、

・原発が必要ないと、なぜ言えるのか。

・もし相談者の意見を読んでいなくても、「経済学は役に立つ」と言えるのか。

・経済学は、医学や看護学のように、重大局面で人の命を救えるのか。

わたしのファシリテートが必ずしも上首尾ではなく、いまひとつ質問がパンチに欠けましたが、応答はそれぞれがんばり、全体的な議論はまずまずおもしろかったのでした。 ほんとうは「書く時間」を授業中に取りたかったのですが、やはりホットシートには時間がかかりました。 結局作文は宿題。 「いま私が取り組んでいることと、私の将来とのつながり」 できあがりは、やはりたのしみです。

 
 
 

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