「バーンガ」の衝撃
- anc05825
- 2017年8月9日
- 読了時間: 3分
「バーンガ」は、異文化理解のためのシミュレーションゲームと説明されて、日本語教育能力検定試験などにも出題される語彙のようだ。 静岡大学の原沢伊都夫先生のワークショップ(研究社)で、初体験。
シミュレーションと言っても、演劇的にロールを演じて立ち回るというようなゲームではなく、素の自分でひたすらカードゲームを人々とやり続けていくというもの。
名前だけは知っていたけれど、今回実際に体験してみて、ものすごかった!
わたしは自分を独善的な人間だとは思っていなかったし、この社会で「自分の正しさ」だけが唯一だという信念を周りの人々に押し付ける愚かさとか滑稽さとか、そういうものを、一応コミュニケーションの教師として、学生たちに折々に説いてきた。
しかし!あのバーンガの場でのわたしときたら、笑っちゃうプログルステスだった!
わたしは、順調に勝ち進んでどんどん「上級チーム」になりあがっていったのだけれど、「自分が間違っている」とはまったく考えていなかった。インストラクションを何度も読んで頭にたたき入れ、勝ち進み、自分は「強い」と自信に満ち溢れ、ゲームを仕切り、どんどん進めた。それは純粋に楽しい体験だった。 最初のチームから同時にのし上がってきたもう一人の賛同者がいることも、わたしの横暴を後押しした。 カードをにらんでぐずぐずしている人がいると、少しイライラした。 他のプレーヤーの顔に明らかな「クェッションマーク」が浮かんでも、それはその人がインストラクションをきちんと読まず理解しなかったのだと思い込んで、わたしは自分のやり方をゴリゴリ、というのか、なんの疑問も持たずにさらっと押し通した。 勝負と勝つことだけをとても楽しんでいたのだけれど、ここらへんまでは、なぜこのゲームが異文化コミュニケーションに関係があるのか、まったくわからず( ;∀;) しかし、最後になりあがっていったチームでゲームを始めると、わたしはマイノリティになった。 そこでのマジョリティ(もっと上級チームにいた人たち)に、「あなたは間違っている」と強い態度(それまでわたし自身が他の人に対していた態度!)で否定され、ぜんぜん違う!!ルールでゲームが進んでしまう。
最初は茫然とただ負けるばかりだった。
しかし、このままではだめだと思いなおし、しかたなくマジョリティのルールでゲームに参加する。 その時点でも、「わたしは間違っていない。この人たちはどこかの拍子に間違えてしまって、こんなルールになっちゃったんだ。最後にファシリテータの原沢先生がインストラクションをきちんと読みましょう、みたいな形で説明してくれるに違いない!そこで、ほらね、やっぱりわたしが正しかったでしょ、とこの人たちに言える。だから、今はしょうがないから、この間違ったルールでカードを集めよう。ほんとしょうがないな、この人たち」などと思っていた。 これは、ほんとうに衝撃的だった。 わたし、相当横暴な危険人物だった。
それは、わかって、よかったと思う。
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