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「外国人」、「日本人」。

  • anc05825
  • 2014年12月30日
  • 読了時間: 4分

アメリカ人の友人から、「『外国人』ということばは、使うべきではない」という意見を聞きました。

―――――――――

「外国人」ということばは、日本国籍を持っているにもかかわらず、日本語母語話者であるにもかかわらず、日本生まれであるにもかかわらず、日本にしか住んだことがないにもかかわらず・・・というさまざまな「かかわらず」を持つ人たちをも一括りにして、しかも「非日本人」という否定的な意味を含んで使われている。

「外国人」ではなく、「日本語第2言語話者」、「外国籍者」などのことばを使うべきだ。

―――――――――

という意見です。

アメリカでは「Foreigner」はほぼ差別語のように考えられていて、忌避されることばのようです。

友人は、「日本人の留学生は平気で I'm a foreigner とか言うけれど、その場にいる人たちは凍りついちゃうようなこともあります」とのことでした。

そうだったかあ・・・と勉強不足を恥じ入りました・・・。

「ガイジン」の品位の無さは、今は日本でも認知されつつあるものの、しかし一般的には結構まだフツーに使われちゃっていることばです。

まして「外国人」は、わたしたち日本語教育関係者でさえ、「差別語」とは認識していないと思います。 (え・・・?わたしだけ??)

その場にいた中国人・ロシア人の人たちも、中国語やロシア語では「外国人」には否定的な意味はないと言っていましたが、日本にいて「外国人」と呼ばれることは、やはりあまりいい気分ではないということでした。

問題は、「日本人」も誰の事だかよくわからないということだと思います。

「日本人」も誰だかよくわからないから、「外国人」も誰のことなのかよくわからない。

そして、滞日する「外国人」のうちの少なくない人たちが、「外国人」には「いやな意味」があると感じているなら、やはり使わないほうがいいのかもしれません。 「アメリカ人」の定義ははっきりしていて、アメリカの市民権を持っている人です。

アメリカの市民権を持つということは、アメリカ国籍を持つということです。 (アメリカは法的に二重国籍について言及していないので、外国籍を持っていてもアメリカの市民権を取れるようですが)

しかし、「日本人」というのは、いかにも曖昧です。 1970年代にたくさん書かれた日本人論が大嫌いな作家でプロの「国際博奕打ち」の森巣博の、「『日本人論』で述べられる日本人」のあいまいさ批判を、長いけれどおもしろい(#^.^#)ので引用してみます。

「それなら日本人とは何なのか。これが前述したようにわからない。とりわけ『日本人論』で述べられる日本人とは、まったく意味不明である。なぜなら、『日本人論』で述べられる日本人には、元在日朝鮮・韓国人であった20万人を超す『帰化人』は含まれていない。また日本国内のいわゆる少数民(族)である、アイヌ、ウイルタ、二ヴフの人たちも除外されている。沖縄の人々も小笠原の人々もそこにはいない。数としては少ないが、日本国籍を有する、日本国外にそのさまざなまエスニックな起源をもつ人々も包摂されていない。これは明確である。  しかし、右の人々はすべて日本国籍所有者であり、『アメリカ人』の定義に従えば、あるいは国民規定に従えば、『日本人』であるはずだ。それ以外の何者でもない。ところが『日本人論』では、これらの人々を除外したところから、『論』が出発しているのである。  そして、多くの日本人論で展開される日本人とは、実は、身体障害者、精神障害者、犯罪歴のある人、あるいは新宿の公園で寝ている人、ヤッちゃんみたいな人、わたしのような本態性博奕嗜好性症候群にかかった人、フェミニスト、同性愛者、そしてまた非国民。アカもシロもピンクもパープルも、すべてさっぱり、全部、きれいに、まとめて排除されているのである」(『無境界の人』集英社文庫pp118-119)

「外国人」ということばをまだ使っているなんて、日本はやはりまだまだ遅れている!というようにも、言えるのかもしれません。

そう思う一方で、そういう考えは「社会進化論」的で、欧米の価値観至上主義じゃないの??とも、いつもの癖の自己撞着を起こします。

いずれにせよ考え続けるしかありませんが、「外国人」は危険なことばだということは認識しておかなければなりませんなあ・・・と思う年の瀬です。

 
 
 

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